地域活性化は「夢を語ること」から始めてはいけない
地域活性化の名のもとに、外部のコンサルタントを招き、「まちづくりは楽しい」「地域の資源を活かそう」「理想の未来を描こう」といったテーマでワークショップが開催される場面を、各地で目にします。
しかし、そこで交わされる議論の多くは、
- 「こうなったらいいな」という希望
- 実現可能性を十分に検討しない理想論
- 現状の地域の体力とかけ離れた将来像
に終始していることが少なくありません。
住民の意見としては否定すべきものではありませんが、「頑張れば実現できる範囲」を大きく超えた夢は、かえって住民の共感や行動意欲を削いでしまいます。
目次
地域活性化は「夢を語ること」から始めてはいけない理由
地域活性化に取り組む地域の多くが、「夢を語ること」から始めてはいけない理由は明確です。
ほとんどの地域は、すでに“病んでいる状態”だからです。
人口減少、担い手不足、高齢化、空き家の増加、生活インフラの脆弱化、コミュニティの崩壊――これらは一時的な不調ではなく、慢性的な症状です。
病んでいる状態で「夢」は考えられない
病気を抱え、病院で治療を受けている人に、「将来の夢を語りましょう」と促しても、そのような意識が残っている人はほとんどいません。
真っ先に考えるのは、
- まず病気を治したい
- 以前のように健康な体に戻りたい
それだけです。
それと同じで、病んでいる地域に「夢を語れ」と求めること自体が、現状を正しく認識していない行為なのです。
これは前向きでも希望的でもなく、単なる事実誤認に過ぎません。
地域活性化で最優先すべきこと
地域活性化で最初にやるべきことは、将来のビジョンを描くことでも、ワクワクするアイデアを出すことでもありません。
最優先事項はただ一つ。
地域を「健康体」に戻すこと
そして、将来も健康でいられる体質に変えること
です。
- 最低限の生活が成り立つか
- 不安なく暮らせるか
- 地域としての免疫力が残っているか
この基礎が崩れたままでは、どんな夢も、どんな計画も、実行以前に崩れます。
正常な意思決定の順序とは
意思決定には、正しい順序があります。
- 現状を直視する
- 病んでいる部分を治療する
- 健康体に戻す
- 再発しない体質をつくる
- その上で、将来の夢を語る
夢を語るのは、健康体に戻ってからです。
これは冷たい現実論ではありません。
むしろ、地域を本気で立て直そうとする人間にとって、最も誠実で、最も現実的な姿勢だと思います。
問題は「夢」ではなく「順序」
多くの地域で起きている問題は、夢を語ること自体ではなく、語る順序が完全に逆になっていることです。
人口減少、担い手不足、高齢化、空き家の増加、買い物弱者、コミュニティの希薄化、防犯・防災への不安――
こうした課題を抱える地域は、すでに
地域そのものが弱り切っており、
前向きな町づくりを考える「余力」が残っていない状態
にあります。
この段階で将来の夢や理想像を語っても、それは多くの住民にとって「空虚な話」にしか聞こえません。
地域活性化で最初にやるべきこと
地域活性化の出発点は、ワークショップでもビジョン策定でもありません。
最優先すべきは、次の問いに正面から向き合うことです。
「このまま何もしなかった場合、
この地域では、どんな切実な問題が起こるのか」
そして、その問題に対する 具体的で現実的な対策を、確実に実行することです。
- 最低限の生活が成り立つのか
- 高齢者が安心して暮らせるのか
- 子どもや若い世代が地域に残れるのか
- コミュニティが完全に崩壊しないか
こうした「切実な不安」に手当をすることなく、前向きな町づくりは成立しません。
自分たちの地域が、どれほど弱っているか、何を失いつつあるのかを突きつけられる
「このまま何もしなかった場合に地域で起こり得る切実な問題」を直視することは、自分たちの地域が、どれほど弱っているか、何を失いつつあるのかを突きつけられる行為です。
それは、
- 地域の現状を否定されるようで苦しい
- これまで何もできなかった自分たちを責められている気がする
- 「もう手遅れかもしれない」という不安に向き合うことになる
という、強い心理的ストレスを伴います。
だから人は、無意識のうちにそれを避けてしまいます。
夢を語る場は心地良い
その代わりに選ばれやすいのが、
- 将来の夢を語るワークショップ
- 「地域の資源」「可能性」「ワクワクする未来」を並べる時間
です。
夢を語る場は心地よく、現実の厳しさを一時的に忘れさせてくれます。
「前向きなことをしている自分たち」にもなれます。
しかしそれは、問題解決ではなく、問題から目を逸らすための麻酔に近いものです。
本当に必要なのは、気持ちよさではなく、覚悟です
本当に必要なのは、
気持ちよさではなく、覚悟です。
- このまま何もしなければ何が起きるのか
- 何が確実に失われるのか
- どこが限界点なのか
これを直視しない限り、どれほど立派な夢を語っても、地域は一歩も前に進みません。
現実を見ることは、確かに怖い。
しかし、現実から目を背けたまま語る夢は、地域を救わない。
地域活性化とは、「気持ちよくなる場」をつくることではなく、現実に向き合い、立て直す勇気を共有するプロセスなのだと思います。
小さな成功が「地域の自信」を取り戻す
まずは、
- 実行可能で
- 効果が目に見え
- 住民が「変わった」と実感できる
現実的な対策を一つずつ積み重ねることが重要です。
その効果が確認できたとき、初めて地域には
- 「やれば変えられる」
- 「自分たちにもできる」
という 自信と手応え が生まれます。
夢や長期ビジョンを語るのは、その「後」
地域に少しずつ活気が戻り、
- 小さな目標を達成した経験が共有され
- 住民の間に信頼関係が再構築され
- 行動することへの心理的ハードルが下がった
その段階に至って、初めて
- 将来のあるべき姿(長期ビジョン)
- 目指すゴールの共有
- 組織づくりや本格的な活動
についての議論が意味を持ち始めます。
ワークショップを「やったこと」にしないために
手順を誤ると、
- ワークショップを開催したこと自体が「地域活性化」だと錯覚し
- 何も実行されず
- 何も残らない
という事態に陥りがちです。
地域活性化とは、場をつくることではなく、地域の回復プロセスを設計することです。
まとめ
- 地域活性化は「夢」から始めてはいけない
- 最初に向き合うべきは「何もしなかった場合の切実な問題」
- 現実的な対策で地域の自信を取り戻す
- 小さな成功の積み重ねの先に、ビジョンが意味を持つ
この順序を踏まなければ、どれほど立派な言葉を並べても、地域は動きません。

過去にインターネット受注で100%稼動する縫製工場を経営しており、平成17年度に経済産業省「IT経営百選」で優秀賞を受賞、翌18年には、最優秀賞を受賞するまでになりましたが、その後、縫製工場の経営を止め、飲食店のインターネット担当として勤務いたしました。平成28年11月より独立してSEO対策とWEBコンサルタントとして多くの相続サイトの検索流入やコンバージョンの改善実績があります







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